だれだよ!USCPA簡単って言ったやつは!

公認会計士がUSCPA取得を目指します

日経一面かよ!監査不信。

www.nikkei.com

週末に日経の1面にでかでかと監査不信について書かれています。

基本的には、「クライアントから金もらって監査できるのかよ!なれ合いだろうが!という批判がある」

という記事。

お前は古代か!

古代からある論点をいまさら日経1面にするなよと。

 

たしかに、カリリオンは罰金問題が出てきたりして、KPMGの純資産ふっとぶんじゃないの?ぐらいの巨額で話題です。

GEもなんかわけわからん損失出しまくりで監査何やってたの?的なイメージもありますが、善し悪し別として、昔からあるやん。V次回復、ビッグバス効果って経営学でやったよ!GEもイメルトさん辞めたし、V字狙っただけじゃないの?

 

ところで記事中に八田さん出てきてますが、大原の人になってますね。青山学院だったような記憶があるのですが。。。本気になったのでしょうかね。

スルガ銀行問題で監査法人は責任問われていないのがおもしろい。

ニュースで最近よく出ているスルガ銀行問題。

お知らせ|スルガ銀行

第三者委員会報告書がでており、読み応え抜群で面白そうなのですが、あまりに長いので読めていません。

日経等の特集で読む限りは、エビデンス偽造等で不正融資を行っていたようです。

ちゃんと審査できていないということで、融資の回収可能性に問題があることになります。監査要点としては、債権の「評価」が問題になります。

当然、これの評価がちゃんとできていなかった監査法人にも責任ありそうなもんですが、今のところ問題にはなってないですね。(ちなみに新日本ですね。運が悪いのか、なんなのか。)

 

過去からの訂正報告書やJSOXのことを考えると、監査法人の担当者はつらいでしょうね。

銀行審査部で融資先の通帳を預かることはないでしょうから、保管する資料は当然コピーになってしまうので、監査法人が原本を確認することはできないでしょう。こういう場合に、なにを確認することで審査の適切性を確認できるのか。。

 

こういう不正は、シンプルなのですが、財務諸表データだけを眺めるAIで検出することは困難そうです。

 

有限責任あずさ監査法人 財務諸表分析

あずさも昨日、34期の財務諸表を公表したようです。

https://home.kpmg.com/jp/ja/home/about/azsa/stakeholders/public-inspection-34.html

 

新日本同様に5期分並べてみました。

 (参考:新日本の記事)

EY新日本有限責任監査法人の財務諸表分析 - だれだよ!USCPA簡単って言ったやつは!

 

総括

増収・減益ですね。前期の営業利益が異常に良いというのもあるのでしょうが、過去と比較しても当期は利益が出ていないですね。

主な要因としては、人件費が34億増え、事務所移転の影響だと思われる施設関連費用が14億円増加していること、IT関連費用(最近何かと話題のAI?)が8億円程度。

人件費は報酬が+5億、賞与が+12億、退職給付費用が+8億といったところが目立ちます。

営業外収益は過去の貸倒引当金繰入の戻入のようです。

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従業員数ですが、前期までは事務員等の記載がなく、比較が難しくなっています。当期に人件費は増えていますが、これが人員増加の影響なのか、1人当たり単価が増えたのかわからないですね。

ただ、会計士の数は順調に増えており、減少傾向の新日本とは雰囲気が違います。29年6月期は何があった?というレベルで増えてますね。

あとは、東京比率は新日本より低めですね。大阪にもけっこうパートナーがいるので、分権されているような感じでしょうか。

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次にクライアント数。監査で順調に増えています。非監査は監査とのバランスで減らしているのでしょうか?単価は右肩上がりで綺麗です。新日本よりも10%以上単価が高いですね。

上場もけっこう増えているようです。記憶にある限りで、最近は電通三菱重工、第一生命と有名どころをもっていっている印象がありますね。

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従業員当たりの各指標

新日本同様の分析がしたいのですが、前期まで事務員含めた全体の人員数がわかりませんので、前期以前のものは参考程度です。

まずは、1人当たりどれぐらい稼いで、どれぐらいもらっているのか。

上記の通り当期より事務員数を含めているので以前のものは参考情報です。当期のものを新日本と比較すると、1人当たり売上は新日本より低いですね。給与はだいたい同じぐらいです。

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1人当たり負担は、新日本より少ないですね。これぐらいがちょうどいいのではないでしょうか。なるべく1社に専念するほうが良い監査ができるのは当然のことです。

事務員は新日本より忙しそうですが。。。

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退職金については、社員、従業員別に出ていないので、比較しても面白くなさそうです。

あずさを見てておもしろいと思うのは、出資金に対する配当金が出ていること、有給休暇引当金があること、グローバル加盟料が別掲開示されていることですかね。

配当金は1人当たりでみると下記のような推移です。百万円いかないぐらいですが、パートナーのお小遣いにはちょうどいいですね。

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グローバル加盟料。高いな!

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のれんは償却の流れ?どさくさにまぎれて過年度遡及を悪用する会社増えそう。

日経の記事を見てびっくりしました。

 

www.nikkei.com

なんでも、IFRSでのれんの償却を検討しており、2021年にも結論を出す予定とのこと。

 

のれんは償却しないのが世界の流れで、償却する日本はガラパゴス的なイメージがありましたが、まさか日本基準の方に合わせてくるとは。

私はのれんは償却すべき派で、最近の安易にIFRS化して、のれん償却回避する魂胆が見え見えの企業に違和感を感じていました。

どう考えても大半ののれんの価値は下がっていくと思いますので、この検討には大賛成です。

 

しかしどうでしょう、記事の通り買収を繰り返している企業にはかなりの痛手。例えば最近だとソフトバンクが3.3兆円もの大金を出して英国企業のアームを買収していましたが、これを償却するとなるとかなりインパクトがあるでしょう。

(2018年度1Qでのれん4.2兆!純資産6.8兆。利益は年間ベースで1兆円ぐらい。のれん償却したら利益も純資産もかなりのダメージですね。)

日本基準の場合、のれん償却は最大20年とされていますが、実務では最長10年というところでしょう(20年も先のことなんかわかりません。そもそも買収した企業が生き残っている可能性の方が低いでしょう。20年前はドットコムバブルのころです。その後も、リーマンショックあり、超絶円高ありで多くの新興企業は死んでるはずです)。

私が監査法人サイドなら、半導体は景気に左右されやすいし、安易には5年以上の償却は認められないケースだと思います。

 

ただここでふと疑問が。過年度遡及を使えば、のれんをPLに計上することなくBSから葬ることができるのでは??アームの例で言うと、基準が適用されても2021年以降になるので、2016年に買収してから5年以上経過することになります。こういう基準変更は過年度遡求するのが普通なので、過去のPLに遡って会計処理を行います。しかし、開示すべき財務諸表は直近2期分。なので2期以前に償却が終わっていればPL上は何も現れず、期首剰余金を直接減らす処理を行うことになります。つまり、例えば以下のような仕訳です。

利益剰余金(BS) 100/ のれん(BS) 100

 

仮に年度償却していれば

のれん償却(PL)  20/ のれん(BS)  20

が5年間PLにヒットするわけですがこれを回避するチャンス!

監査法人にも償却5年ぐらいと言っておけば、けっこうあっさり通るでしょう。

短ければ短いほど、この際都合がいい。

 

そしてBS上ののれんがゼロになるので今後の減損リスクゼロとなります。

 

ソフトバンクのように極端にのれんが大きい会社には自己資本激減につながりつらいでしょうが、減損リスクに怯える企業にとっては、どさくさにまぎれてBSから消す絶好の機会になり得ますね。

USCPA試験合格してみて感想①

おかげさまで、なんとか試験を終えることができました!

ハッピー!でも、つかれたー。。

とりあえず、勉強期間中にKindleで買うだけ買っていた本たちの消化から始めてます。

 

ざっくりですが、私のUSCPA受験についてまとめます。

①試験前スペック

会計的な知識:公認会計士。4大監査法人勤務。

英語:TOEIC950点より上。ただし、特に実務で使ってるわけではなく、なんとなく勉強してたらとれたという感じで、英文会計知識はゼロ。

 

②勉強スタイル

プロアクティブのウェブ。

通勤の電車、あとは帰宅後の自宅、出張先のホテル等。1日4時間を目標にやってました。だいたい平均するとこんなにできたか微妙なラインだとは思いますが、1ヶ月100時間ぐらいはやってたのではないかと。土日は直前を除き1時間から2時間程度でした。

 

③各科目の要した時間

正確な時間は記録していないのでわからないですが、だいたい以下のような感じだと思います。FAR2回目はお盆休みがあったので長め、BECは繁忙期だったので短めになっていますが一月100時間ぐらい。FARが長いですね。。。

一番つらかったのは、REGです。興味が湧かない内容をひたすら頭に突っ込んでいくので。。。。

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私の感覚では、自分の勉強したことはFARを除き必要最低限だったと思っており(MC1周か2周程度)、各科目150時間は必要で、最初の受験科目についてはさらに+50時間ぐらい必要と思っています(勉強開始からの最初の1ヶ月の勉強の進み方はかなり遅いペースだと思いますので。いちいち英単語がわからないし、読むスピードも遅いはず。)。なので、650時間ぐらいは最低限勉強時間を確保しないといけないと思います。

 なお、簿記の知識がない人はさらに+150時間は必要かと。

 

④全体的な感想

当初は、USCPAはけっこう簡単なイメージがあり(これが平均的なJCPAがもつUSCPAへのイメージかもしれません)、気楽になんとなく日本企業もだんだんとIFRS化する流れもあり英文会計の勉強も兼ねてやってもようかなと考えて受験したのですが、思いのほか難しいです。気楽に受けるのはオススメしません。ガチの試験です。ガチの勉強が必要でした。

質問の英文もわかりにくいし、試験範囲が広いし、まんべんなく出てくるので捨てるという決断はしにくい、英文テキストベースなので勉強もしにくいし(日本語テキストの2倍ぐらい時間がかかったと思います)、試験各科目4時間もあり、選択問題は1問1分半ぐらいで解き続けるという根性の有無を確認されるような?問題でしんどいです。

ただ、ある程度勉強をしてくると、コツというか、慣れてきました。この慣れがUSCPA受験ではなんなら1番大事ではないかと思います。こういうパターンならこの回答はないのでは?とか常識的にこれはないとか、消去法で回答できるようになってきました。おそらく最初に受ける試験の勉強が一番効率が悪く、最後に受ける試験の勉強が一番効率よくできたと思います。

勉強効率が徐々に上がっていくのは、英語の語彙が増えていく影響も大きいです。何を聞いてるかわからないときがあるけど、解説を聞けば、「ああこれか」みたいなのが最初の3カ月ぐらいは多かったです。ただ、質問もそんなにパターンがあるわけではなく、3カ月も勉強しているとだんだん頭に入ってきて、わからない単語で聞かれても推測できるようになってきます。これをクリアするまでが3ヵ月ぐらいかと。

(特にプロアクティブは翻訳ないし、口頭解説なのでわからなければいちいちググって調べてました。最初の1ヶ月ぐらいは本当に効率悪いです。わからない単語だらけなので。わたしはこの試験勉強期間中にweblioには100回以上お世話になってる気がします。他校だと翻訳あるでしょうから、もう少し早く慣れることも可能かもしれません。)

私にとってUSCPA受験の最大のメリットはこの英語力向上かと思います。毎日3時間も4時間も英文読み続ける生活になるので、おそらくこの8ヶ月でそれまでの人生で読んだ英文を超える量を読みました。いまは通勤中にKindleで英語の本を読んでいるのですが、けっこうスムーズに読めています。多読って効果あるんだなと実感しているところです。

 

 

さて、各科目についても書こうと思いましたが、だらだら長いので今度にします。

FAR REG結果発表!

9月11日にFAR,REGの結果発表ということで、アメリカ時間で考えると明日かなあ、それかまたフライングあるんかなあと思っていましたが、またもNASBAからフライング発表のお知らせ。9月10日22:00に発表とのこと。日本だと9月11日12:00。 

お昼休み中にこっそりログインして待ちます。(昼食はみんなとは行かずに、部屋に留まり中)

 

 結果は。。。。。。

 

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うおぉぉー!!

FAR,REGどっちも突破!

うれしい!!

1人、クライアントの会議室にて小躍り! 

 

FARは手ごたえあったので、納得ですが、REGは自信がなかったのでラッキー感がすごい。。2択までは絞れてたので、勘が当たりまくったのでしょうか???

 

とにかく、これで全試験合格できました!疲れた!

さんざん文句を言ったプロアクティブ!佐々木先生ありがとう!

ブログにコメントいただいた方もありがとうございました!励みになっておりました!

 

勉強期間は8ヶ月、FAR1回落ちましたし、忙しい時期、試験直前は結構なストレスでしたが、受かってしまうともうすべて良い経験に昇華。