KAMが導入されたらAUDの試験はどうなるの??
最近、監査法人内の研修でよく聞くようになってきたKAM。
KAMとはKey Audit Matterの略称で、監査上の主要な事項と訳されています。
これの導入は、「監査報告書の透明化」につながるとされており、要は監査においてどこを重点的にリスクととらえて、どういう手続きをして、どうやって判断したのかといったことを監査報告書に書いていくことになります。
この部分について基本的にはテンプレートはなく、各監査法人が考えて書いていく必要があります。
会計士協会のKAM試行のとりまとめによると、例えば下記のような文言が追加される可能性を示しています。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/kansa/20171117/20171117/1.pdf
実務においては、いろいろ準備・検討しておく必要がありそうなこのKAMですが、日本では2021年とか22年とかアメリカの後追いで導入という話らしいです。
気になるのは下記の通りアメリカでは早いところでは2019年6月15日以降終了事業年度より適用という点。これ早く受かっておかないとテストがらっと変わる可能性がある??
USCPA試験では、監査報告書めちゃくちゃ出てきました。けっこういろいろなパターンがあって苦労したのですが、さらにKAMが加わるといやですね。
なお、すでに導入済みの英国の会社のBritish PetroleumのAudit Reportを見てきましたが、なんじゃこりゃという細かい監査報告書に仕上がっております。
このPDFの2ページ目から8ページ目までの合計7ページが監査報告書っぽいです。
米国においても、ここまで求められるかどうかはわからないですが、いずれにせよ試験の論点はかなり変わってくる可能性があるので、長期目線で勉強されてる方は留意しておいた方がいいかもしれません。
(追記)
そういえば、先日、日経にこんな記事がありました
KAMを先行導入して、監査の質が上がったはずの英国において、監査の質が悪化しているという記事です。これを見るだけだと、KAM意味なくない?と思ってしまいますが、これは、必ずしも監査のレベルが下がっているわけではないと思います。
東芝事件のあとに品質管理において、進行基準やバイセル取引への目は厳しくなったようなものだと思います。破たん等あると世間の目が厳しくなったり、要求水準はどんどん上がっていきます。
あとは、監査結果説明的なものを公表することで、チェックのターゲットが絞りやすくなるので、深く突っ込まれている可能性もあります。記載と矛盾してるよねとか。
そういう意味では品質管理チェック側のレベルもじわじわあがっていくということで、実質的にはKAMには意味あるんじゃないかと思いますね。